金融系の社内SEに興味があるけど、どうやったらなれるのか分からない。
この記事ではこんな疑問にお答えするべく、元金融系SEだった筆者が体験談を語ります。
記事を読んで分かることは以下の通り。
- 金融機関系のシステムエンジニアなる3つの方法
- 難易度が高い方法、そうでない方法
「金融SEってなに?」「どんなことするの?」と疑問に思われている方は『金融系のシステムエンジニアってなに?新卒者でも分かるように徹底解説』という記事をはじめにお読みください。
金融機関系のシステムエンジニアに就職するには3つの道がある
金融系SEの就職先は大きく3つに別れます。
- 銀行・証券・保険・消費者金融等に入社する
- 金融系システムを開発しているSIやメーカーに入社する
- 監査法人・コンサルティング会社に入社する
金融機関に入社する
読んで字の如く、金融機関を事業としている会社に入社します。
金融業界と一言で言っても業種がたくさんありますが、こんな業界にある会社に入社します。
- 銀行
- 証券
- 生保・損保
- カード・信販
- 消費者向け金融
- リース
- フィンテック
銀行で金融SEになる場合
わかりやすい例で銀行の場合、こんなルートで金融系SEになれます。
- 銀行員として就職後、情報システム部に配属される
- 銀行本体のフィンテック・データサイエンス枠で入る
- 銀行のシステム子会社に就職する
難易度は①が最も難しいです。
というのも、銀行員で情報システム部に行くには総合職(法人・個人営業)の枠で採用され数年経験を積んだ後に配属されるからです。
例外的に、IT専門コースとして銀行員でありながらも職種はIT専門(SE)という銀行もありますが数は少ないです。
②は金融SEの定義から少し外れるかもしれません。
昨今のデータマート・DWHなどの考え方からデータサイエンティストやAI開発者、ディープラーニング設計者を採用する銀行が増えています。大学院で専門的な経験を積んでいるならぜひ応募してみましょう。
③は最もオーソドックスな金融SEの就職法です。
三菱UFJであれば「三菱UFJインフォメーションテクノロジー㈱」に入社します。社内の情報システム部が分社化されたイメージです。
三井住友グループ傘下にもシステム子会社がありますが、分社化されたイメージというよりは個別のシステム会社という毛色が強く、「さくら情報システム㈱」「㈱さくらケーシーエス」があります。ちなみに、三井住友銀行内部のシステムは日本総合研究所が大きくサポートしています。
金融機関の社内SEのメリット
福利厚生がとても充実していること、法令遵守の姿勢が強いのでブラックな労働環境から脱しつつあること、社内SEの頂点であることがあげられます。
詳しくは『社内SEの中でも金融系がよいと言われる6つの理由|待遇・福利厚生・キャリア』という記事で解説しています。
金融機関向けのシステムを開発している会社に入社する
金融機関をお客さんにする金融系SEです。
金融機関から業務依頼され要件を満たしたシステムを開発・納品します。いわゆるシステムインテグレーター(SI)を事業にする会社で、メーカー系もあります(こういった会社をITベンダーと呼びます)。
例えば、NTTデータ、IBM、NTTコミュニケーションズ、富士通、NEC、日立、東芝、野村総研、NSSOL、CTC、JRI、ISID、日本ユニシス、SCSKなど・・・あげるとキリがありません。
金融に強いITベンダーに就こう
金融系SEになりたい場合は、金融に強い会社に就職するのが鉄則。
金融系に強いITベンダーは自社で銀行の心臓部である勘定系システムを開発しています。
例えば、
- NEC:BankingWeb21という勘定系システムを作っている
- NTTデータ:BeSTA、MEJAR、STAR-ACE、信用金庫共同システム
- 日立:NEXT BASE、BCS
- 日本IBM:Chance、NEFSS
- 日本ユニシス:Bank Vision、BankStar
- Oracle:FlexCube
- 富士通:ユニティ、PROBANK、W-Bank
他にも、野村総研(NRI)、日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)も金融系に強いイメージがあります。
監査法人・コンサルティング会社に入社する
最後は、監査法人やコンサルティング会社に就職して金融SE(?)に就く方法です。
具体的な会社は、
- 監査法人は、BIG4(デロイトトーマツ、EY、KPMG、PwC)
- コンサル(ITコンサル)、アクセンチュア、アビーム、キャップジェミニ、IBM
といったところでしょう。戦略系コンサル(戦コン)はあえて挙げていません。
SEよりも上流の仕事を担う(機会が多い)
実は「?」をつけたのには理由があり、監査法人やコンサル会社はSEより上流工程の仕事を担当することが多いからです。
具体的には、クライアント(この場合金融機関)のIT戦略を考えたり、クライアントが勘定系システムを更改するときに共同でリサーチしたり、という仕事をします。
つまり、ゴリゴリ手を動かしてプログラムを書いたりシステム設計・開発するというよりは、戦略・企画的な業務がほとんどになります。
SI領域も担うコンサル会社が増えてきた
しかし、最近はコンサルティング会社がSI領域にも手を伸ばしています。
実際、コンサル大手のアクセンチュアはオペレーション部隊を抱えており、システム運用チックな業務を引き受けられる体制になっています。
(裏を返せば、オペまでやろうとしているから人手が足りていない状況でもある)
おすすめは(最終的に)金融機関の社内SEになること
難易度が高いと申し上げましたが、最終的には金融機関の社内SEになるのがおすすめです。
IT業界は構造的に、お客さん側(発注者であるユーザー企業)が最も強い権限を有しています。これが大きな理由です。
IT業界は、発注者が一番強い
発注者はお金を持っており、案件をリードする決裁権も有しています。
ゆえに、自らの判断で進められることがおおくやりがいを感じられる一方で、人材を活用せねばならないのでマネジメント能力が身につきます。
受注者は発注者に勝てない
SIerもITコンサルも、結局はお客さん側の言いなりで、お客さんが考えたことについて手を動かして納品するのみです。
ただ、その分スキルや経験を驚くほど身につきます。
どちらも一長一短はありますが、最終的なキャリアとして金融機関のSEを考えてみるのがよいでしょう。
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